宮本常一「ふるさとの生活」
駆け出しの民俗学者だった宮本常一が、小学生向けに年中行事などの習俗や、村々の成り立ちを説明した読み物。1950年刊。
子供向けだが、開拓の歴史や年明けよりも大晦日の方が重要な理由など、現代からすればはっとさせられる内容が多い。
巻末の一文が、宮本の生涯を表していて印象深い。
「村を、今日のようにするためにかたむけた先祖の努力は、たいへんなものであったと思います。その努力のなかにこそ、のこる歴史があったのでした。いつでもその人たちの前進しつづけた足おとがきけるような耳と、その姿の見えるような目を持ちたいものです」