天才と名人 中村勘三郎と坂東三津五郎

長谷部浩「天才と名人 中村勘三郎と坂東三津五郎」

天才・中村勘三郎と、名人・坂東三津五郎。同い年で幼少期から切磋琢磨し、歌舞伎界の次代を担うことが期待されながら夭逝した二人。歌舞伎界屈指のサラブレッドの血筋に生まれ、六代目菊五郎と初代吉右衛門の芸を継ぐ勘三郎は、幼い頃から天才であることを求められてきたのだろう。一方、脇役の祖父と父の下に生まれた三津五郎は、守田座座元の系統に連なる矜持を持ちながら、芸域を広げて名人としての評価を確立していく。著者とのプライベートなやりとりを交えつつ、二人の生涯が交互に綴られている。天才と名人の芸だけでなく人柄も伝わってくる良書。

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