幕末純情伝

つかこうへい「幕末純情伝」

つかこうへいの代表作の一つ。戯曲と小説のセット版。沖田総司が女という設定が共通していること以外は、映画、戯曲、小説、全て見事なほど別物。戯曲も上演ごとに大きく異なる。

新撰組や志士の面々が出てくるが、歴史ものではなく、総司と土方、龍馬のラブストーリー。でも、一般的なラブストーリーの甘さは無く、とにかくめちゃくちゃ。

特にここに収録している戯曲(08年版)は強烈で、わけが分からない。総司に加えて龍馬まで女という設定で、龍馬は憲法九条に固執し、西郷隆盛は沖縄戦の話を始め、高杉晋作は米兵に身を売った母親の話をする。

いつの時代の話か分からないが、凄まじいテンションで物語が展開していく。登場人物は下衆ばかりで、とにかく下品な言葉のオンパレードの中、急に胸を打つ長ゼリフが挟まれる。これが生の舞台で見ると、わけがわからないまま心の奥に入ってくる。

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