アンナ・クリスティ

ユージン・オニール「アンナ・クリスティ」

ユージン・オニールの代表作の一つ。1930年公開の映画はグレタ・ガルボが主演し、トーキー黎明期の名作として知られている。

船乗りの父によって親戚に預けられて育ったアンナは、15年振りに父と再会し、石炭船で一緒に暮らし始める。遭難していたところを救った火夫マットと恋に落ちるが、やがて隠していた過去が明らかになる。父が危険な海から遠ざけ、陸で幸せに暮らしていると思っていた彼女は、親戚の虐待から逃れて一人で娼婦として生きてきたのだった。

過去を知った当初、怒り狂って放たれるマットの言葉は、現代の感覚からすれば一方的だが、戯曲の発表当時は、アンナの過去の重さは現代では想像できないほどだったのだろう。愛した人の過去を受け入れられるかという普遍的で切実なテーマを扱った恋愛ドラマ。

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