若い読者のための短編小説案内

村上春樹「若い読者のための短編小説案内」

ガイドというより、それぞれの作品をどう読むかということを作家としての立場から綴ったエッセイ。すぐれた書評・読書案内であると同時に、読み物としても面白い。 “純文学”をどう楽しむか。「仮説を立てて読む」ということの喜びが冒頭に書かれている。仮説というと大げさに聞こえるが、確かにその通りで、それが可能なだけの奥行きを持つかどうかが、ただの散文か文学かの境目だろう。

取り上げられているのは、吉行淳之介、小島信夫、安岡章太郎、丸谷才一といった「第三の新人」世代。面白いと思いつつも、あまり読んだことがない(言い訳するなら、いまや高価な講談社文芸文庫くらいでしか出ていないから)。長谷川四郎なんて手に取ったこともなかったが、今度読んでみよう。

コメントを残す