2019年まとめ

2019年に読んだ本は、前年と同じ114冊、3万5218ページ(前年比561↓)。

  

小説は例年に比べて新刊を多く読んだ年だった。当たり外れは大きいものの、リアルタイムで良い作品に出会う喜びは大きい。絲山秋子「夢も見ずに眠った」、川上未映子「夏物語」、大島真寿美「渦」、窪美澄「トリニティ」、河﨑秋子「土に贖う」、吉田修一「国宝」など。読んでいる時は気にしなかったけど、こうして並べてみると女性作家の作品ばかり。

韓国文学や中国SFが注目された1年で、チョ・ナムジュ「82年生まれ、キム・ジヨン」は小説として完成度が高いとは思わないが、社会学的、フェミニズム的視点とともに物語の力を強く感じさせるものだった。

 

新刊以外では、保坂和志「カンバセイション・ピース」、住井すゑ「橋のない川」、筒井康隆「旅のラゴス」、西加奈子「サラバ!」、高村薫「土の記」、山下澄人「ほしのこ」、津村記久子「浮遊霊ブラジル」、門井慶喜「銀河鉄道の父」など。小説ではないが、色川孝子「宿六・色川武大」は稀代の作家の別の側面を知ることができ、読み物としても非常に面白かった。

  

ノンフィクションでは、濱野ちひろ「聖なるズー」、再読の下川裕治「12万円で世界を歩く」及び新刊「リターンズ」、高野秀行「辺境メシ」、小林真樹「日本の中のインド亜大陸食紀行」、北澤豊雄「ダリエン地峡決死行」、ブレイディみかこ「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」。

 

NHKスペシャル取材班「縮小ニッポンの衝撃」と河合雅司「未来の年表」は読んで暗い気持ちになった。人口減少、少子化は知識としては当然持っていたが、2050年や2100年が、今の子どもたちを起点に考えると決して遠い未来ではないという実感が生まれたことが大きい。

 

平野啓一郎「私とは何か」は、ぼんやりと違和感を持っていた「本当の自分」という幻想を理路整然と否定する内容ですっきり。小熊英二「日本社会のしくみ 雇用・教育・福祉の歴史社会学」は大学生・高校生にぜひ読ませたい。

  
 
そのほか、木村哲也「宮本常一を旅する」、宮本常一「辺境を歩いた人々」、網野善彦「古文書返却の旅」。年の瀬に読み始めた「ニール・ヤング回想」も、まだ途中だけど素晴らしい。

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