高野秀行「恋するソマリア」
「謎の独立国家ソマリランド」の続編。ソマリアに恋して、その日常生活を知ろうと四苦八苦。外国人どころか男子禁制の一般家庭の台所で料理を学び、南部ソマリアでは、アル・シャバーブとの内戦の最前線へ。
著者のルポは「アヘン王国潜入記」「西南シルクロードは密林に消える」などミャンマーものが白眉の出来だが、ソマリア紀行もそれらに並ぶ読み応え。政治や歴史に触れつつ、決してそれが主題とならない。見知らぬ土地で人の話を聞いて、いろいろなことを知り、先入観が覆されていく。本を通じて旅のそんな感覚を思い出させてくれる。こんな旅はできないけど。