ユージン・オニールの自伝的戯曲。麻薬に溺れる母、卑小な父、自堕落な生活を送る兄、母の麻薬中毒の原因ともなった病弱な弟=作者。四人それぞれが、心の底から人を恨み、自分を憎んでいる。
自らの身を切るような負の感情の溜まりを、よくぞここまで正面から直視して描いたと思わされるほど、読んでいてつらい。作者自身が死後25年間公表を禁じたというエピソードも納得。ただ、ここから立ち上がる印象は決して崩壊した家族ではない。全員が取り返しがつかないほど傷ついて、先に絶望しか見えなくても、この四人の間には確実に他者が入り込めない何かがある。家族という関係性の不思議を思わされる。