ニール・ヤング 全公式音源攻略ガイド

和久井光司責任編集「ニール・ヤング 全公式音源攻略ガイド」

ニール・ヤングの全アルバムガイド。多作でしかも変化が激しく、熱心なファンであってもその全貌が把握しづらい存在だけに、こうしたガイドは非常にありがたい。

特筆すべきは、全アルバムがレコーディング時期に合わせた編年体で並べられており、アーカイブスシリーズの各ディスク、ライブ盤もその中に位置づけられていること。ニールの作品には「Tonight’s The Night」や「On The Beach」をはじめ、リリース順と録音順が一致しないものが少なくなく、未発表曲も多い。近年は過去の音源の発掘、リリースが続いていることもあり、余計にディスコグラフィーが複雑になっているが、本書を通読しながらニールの作品を聞き返すと、その歩み――いかに変化し、いかに変わらなかったか――がはっきりと浮かび上がる。

バッファロー・スプリングフィールド、CSN&Y時代はもちろんのこと、なかなか追うのが難しい参加作品についても紹介されているのがうれしい。さらに、CSNのソロ作品や、クレイジーホースのアルバムも網羅されていて、現時点での完全版と言える内容になっている。

音楽の聴き方がストリーミング、サブスクリプション中心になり、聴く分には大変便利なのだけど、アルバムにまつわるあれこれの情報が、こちらから調べようとしないと入ってこなくなってしまった。サブスク時代になって、こうしたディスクガイドの価値はむしろ増しているように思う。読みながら、かつてCDのライナーをわくわくしながら開いていた感覚を思い出した。編著者の主観・思い出交じりの解説もむしろ味わいがある。

個人的にはもっと各アルバムについて、参加ミュージシャンやスタッフ等のデータベース的な内容も欲しかったが、そもそもニールのアルバムについてそれを網羅するのは、本人でなくては(本人でも?)無理というものかもしれない。

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