雁の寺・越前竹人形

水上勉「雁の寺・越前竹人形」

どちらも母の不在、劣等感を抱えた少年という主題があるが、そうした細かいことは抜きにして、物語と哀切な雰囲気に引き込まれた。

サスペンス調の「雁の寺」。淡々とした描写がかえって少年のやり場のない情念を感じさせ、鬱屈とした雰囲気に胸が詰まる。

そして「越前竹人形」。遊女をしていた美しい妻にひたすら母の面影を追い求める。これほど哀しくて美しい小説はなかなか無い。

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