ガラスの靴・悪い仲間

安岡章太郎「ガラスの靴・悪い仲間」

初期短編集。戦争を挟んで青春時代を過ごし、明確な価値基準や希望の存在しない日常を見つめる著者の視線は、村上春樹など二十世紀後半の文学作品にも通じる現代性がある。

生き方の根底に劣等感があり、くだらないことにこだわったり、幼稚な優越感に振り回されたり、主人公の小ささに奇妙な親近感を覚える。表題2作や「陰気な愉しみ」は文句なしの名作。一方で、初期作品だけに、書きかけや習作のような印象を受ける作品も。

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