ラフカディオ・ハーン「新編 日本の面影」
ハーンの代表作の一つ、「知られぬ日本の面影」の新編集版。ただの紀行文にとどまらない記述の密度に驚かされる。かなり丁寧に話を聞き、寺社仏閣の由来から民間伝承まで細かく書き込んでいる。情景描写は小説のよう。
「神々の国の首都」「杵築」「日本の庭にて」などでハーンの書く日本はこの上なく美しい。
現代の視点で読むと美しい面しか見ていないという違和感もあるが、西洋化の道をひた走っていた日本に対する同時代からの強烈な批評でもあった。
改めてハーンの著作を読んで、柳田国男も折口信夫も漱石もハーンの後に来ることに気付き、軽い衝撃を受けた。