さようならコロンバス

フィリップ・ロス「さようならコロンバス」

アメリカらしい雰囲気に満ちた青春恋愛もの。今や超大御所のイメージがある著者だが、この作品は若く瑞々しい。ひと夏の恋の始まりから終わりまで。よくあるプロットながら、背景にアメリカにおけるユダヤ人社会の姿が書き込まれていて、主人公が働く図書館に通う黒人少年の描写など細部も印象的。普遍的で、かつ唯一無二。

それにしても、フィリップ・ロスほどの作家でもほとんど絶版で手に入らない現状は何とかならないだろうか。

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