中川右介「悲劇の名門 團十郎十二代」
昔ほどには序列がはっきりしなくなっているが、歌舞伎における名跡はまさに地位そのもの。そのなかでも最高位の團十郎を、歴代がどう生きたのか。それは役者が河原乞食から高尚な伝統芸能の担い手になるまでの歌舞伎の歴史そのものでもあり、実力がはっきりと分かる芸の世界で生まれながらに最高位を生きることは、それだけで複雑な一生を全ての團十郎に強いてきた。九代目とその後の空白期間を経て團十郎も幹部役者の一人に落ち着いているが、十三代目は今後どうなっていくのだろう。
読んだ本の記録。