奇景の図像学

中野美代子「奇景の図像学」

中国を中心に古今東西の奇景の描かれた絵や図をとりとめもなく読み解いていく。まとまりの無い本だが、多種多様な絵図が収録されていて、眺めているだけでもかなり面白い。

古地図の片隅に描かれたカニバリズムや、書を読むサル、入れ子構造の山水画、風景に拡大された太湖石、鞦韆=ブランコの淫靡さ、隘路の先で閉ざされた空間が反転する桃源郷の構造、園林や「天井」など囲まれた空間への眼差し……

人間の想像力の果てしなさに驚かされると同時に、一方でその発露にはある程度のパターンがあることから、根っこには普遍的なものがあるのだろうなと感じる。

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