みんな彗星を見ていた 私的キリシタン探訪記

星野博美「みんな彗星を見ていた 私的キリシタン探訪記」

戦国~明治にかけ、日本は4万人とされるキリシタンの殉教者を出した。棄教すれば命は許された一方で、棄教を拒めば火あぶりや熱湯責めなどの過酷な拷問が行われた。なぜ信徒たちは信仰を貫き、神父らも国外追放を拒んで命を投げ出したのか。著者はその疑問を抱いてキリシタンの足跡をたどる旅に出る。

「踏み絵」も天草の乱も大抵の人は知っている。だが、それ以上のことはほとんどの人が知らない。明治の「信徒発見」は悲劇の中の美談として語られ、その陰に直後の大弾圧が隠される。教会群の世界遺産登録運動でも、弾圧の歴史は他人事のように語られる。

非常に重いテーマだが、著者の筆は軟らかい。副題にあるように、“私的”な探訪として文章が綴られていく。ただ、おそらくこの著者の持ち味でもある身辺雑記的な描写の多さは、個人的にはまだるっこしく、読み通すのに苦労した。

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