日本宗教史

末木文美士「日本宗教史」

記紀神話に始まり儒教や思想にも触れていて、どのように日本人の“古層”が形成されてきたか、日本精神史とも言える充実した内容。

個人的に、仏教と神祇信仰は二本柱のように独立して存在し、その中間に神仏習合の領域があると考えていたが、実際には両者は互いに影響しあい、大きく変容してきた。特に日本古来の伝統と考えられがちな神祇信仰が、仏教の影響で形成されてきた過程が興味深い。

当初、日本の神々は仏に救済される立場か、仏を守護する存在だった。あるいは、末法の辺土ゆえに仏がそのままの姿で姿を現せず、神々に姿を変えて現れたという考え方だったのが、どこかの段階で日本は神の国という日本優位の思想に逆転し、神道の形が整ってきた。

いわゆる「葬式仏教」も日本独自の堕落した形ではなく、死との向き合い方において儒式や神式がどうしても普及しえなかった点から考えると、日本人の精神史において仏教の存在の大きさが分かる。

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