能・文楽・歌舞伎

ドナルド・キーン「能・文楽・歌舞伎」

圧倒的な知識とそれに基づく理解の深さ。能の解説書などで、「幽玄」といった概念は曖昧な説明になりがちだが、原文が英語で書かれているためか、西洋的・分析的な考え方に染まってしまった現代日本人にも分かりやすく書かれている。初心者にとっては最良の概説書だろう。

著者の生き方を見ていると、文化とはただそこにあるものではなく、選び、学び取っていくものだと感じる。

能を中心とする日本の演劇は、同じく古い歴史を持つギリシア悲劇などと比べ、時代ごとに変化しつつも一度も伝統が途切れなかったという指摘にも、はっとさせられる。

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