女形の事

六代目尾上梅幸「女形の事」

明治~昭和初期の名女形、六代目尾上梅幸の芸談。なで肩に見せる工夫など、秘伝の一部を明かしていて、素人が読んでも結構面白い。脱いだ下駄が大きくては変だから、足がはみ出すような小さい下駄を無理矢理履いて、歩くときは着物の裾で隠しておく……など、数え切れないほどの工夫の上に歌舞伎の女形が立っていることが分かる。そして何より、女形である以上、日常から男の前では食事も後ろを向いてする、などの心がけの数々。芸の道に生きるとはどういうことか伝わってくる。

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