岡田利規「遡行 -変形していくための演劇論」
チェルフィッチュ主宰、岡田利規の演劇論。過去の作品を挙げつつ、演劇観や演出手法の変化を振り返っていく。過去から現在へ、ではなく、1作ずつ過去に遡っていく書き方が新鮮。「今」が作られる過程を演出しないぶん、今の姿はぼやけつつも、かえって正直な印象を受ける。
「三月の5日間」など初期の作品が最後に来るため、当初の問題意識がより際立つ。言葉があって仕草があるのではなく、役者の中に存在するイメージの下でそれらは併置される。言葉に従属しない動き。役者に求めるものが先行世代とかなり違う。