テロルの決算

沢木耕太郎「テロルの決算」

17歳のテロリストと左派の老政治家。演説会の壇上で山口二矢の短刀が浅沼稲次郎の胸を貫く一瞬まで、二人の人生を丁寧に描いたノンフィクション。

山口二矢の心情だけでなく、“庶民”として戦争協力の道を歩まざるを得なかった苦悩など、浅沼の評伝としても非常に興味深い。

一つの事件を扱ったノンフィクションとしては、これ以上のものは書き得ないのでは。新聞でも何でも、加害者の報じ方の安っぽさと想像力の欠如が、被害者の人生をも貶めている。

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