マシアス・ギリの失脚

池澤夏樹「マシアス・ギリの失脚」

物語の筋は既にタイトルに示されている。神話も含めて一つの世界を作り上げる試み。

著者自身が「百年の孤独」のようなものを書きたかったと別の場所で書いていたが、「族長の秋」「予告された殺人の記録」を思わせる部分もある。ただ全体としては、ガルシア・マルケスのようなものを書こうとして、結果的に辿り着いたのは別の物という印象が強い。池澤夏樹の思想、世界観がはっきりと示されていて、日本を“宗主国”とする架空の島国を通じて、日本を描いた作品とも言える。

コメントを残す