平田オリザ「地図を創る旅 青年団と私の履歴書」
自ら「地図を創る旅」と言うように、著者は、方法論を確立し、それを新たなオーソドックスとして広めることにかなり意識的に取り組んできた。若手へのワークショップや地域劇団とのネットワーク作りに積極的に取り組んできたこともあって、演劇界では、青年団の動員や評価だけでは計れない存在感がある。物を書くべくして育った青年が、何となく始めた演劇になぜここまでこだわってきたのか。大学時代の事をこれほど鮮やかに振り返ることができるのは、自らの歩いている位置に対して常に意識的だったからなのだろう。読み物としてもとても面白い。