「ニール・ヤング自伝」
ニール・ヤング初の自伝。自伝とはいうものの、全然時系列になっていない、とりとめのない文章がこの人らしい。音楽活動の思い出を軸としつつ、音質へのこだわりや、趣味の車、鉄道模型などなど、思いつくまま書き連ねていったかのよう。
「お察しの通り、わたしは自分の思考をほとんどコントロールできない。今までのところ、書き直しをしたのはほんの1パラグラフほどだ」
mp3に現代のラジオとしての役割を見て、複製も構わないと言い切り、商品としては高音質の音楽配信を普及させようとする活動(ファンならお馴染み“Pono”)は、思いばかりが先行しているような気がするけど、実現してほしい。
年相応の偏屈さと少年のように純粋な思い入れ。思いついたことに前のめりになって取り組んできたその生き方は、矛盾もあるし、ぶれもある。それでも、その根底にあるものは変わらない。変わり続けるからこそ、変わらないでいられる。
所属レーベルからニール・ヤングらしくない作品ばかり作っているとして訴えられるような生き方を他のどのミュージシャンができるだろう。家族や亡くなった友人への思いが繰り返し綴られていて、胸を打つ。