ホワット・イフ? ―野球のボールを光速で投げたらどうなるか

ランドール・マンロー「ホワット・イフ? ―野球のボールを光速で投げたらどうなるか」

多彩な質問にユーモアたっぷりの回答。

著者はNASAで働いた経験を持つ理系漫画家。ウェブサイトに寄せられた「空気圧で肌を温めるにはどれくらい早く自転車をこげばいいか」「どのくらいの高度から肉を落としたらステーキが焼けるか」といった質問に、シュールなイラストを交えて、科学的知見で回答する。

たとえば、表紙に書かれている「光速の90%で野球の球を投げたら」という質問。著者によると、空気とボールの表面で核融合が起こり、球場内の空気が高温のプラズマと化す。急激な膨張と大爆発によって球場の周囲1.5km以内のすべては消え去るが、結論は「MLB規則6.08(b)によれば、この状況では、バッターは死球を受けたと判断され、1塁に進むことができるはずだ」。

ばかばかしい質問を、あくまで大まじめに検討する姿勢がおかしい。ステーキ落下の思考実験では、ICBM(大陸間弾道ミサイル)の大気圏再突入時の先端部の温度上昇に関する論文を参照する。一方で、回答の文章にはアメリカン・ジョーク満載で、ジョークをジョークと見抜けない人には?だらけの読書体験かも。

そのほか、

・元素周期表を実際の元素を積んで作ったら何が起きる?
・人類全員でレーザーポインタで月を照らしたら月の色は変わるか
・地球上の全ての人間が集まってジャンプしたらどうなるか
・お茶をかき回して沸騰させられるか
・マリアナ海溝に排水口を設けて海水を抜いたら
・その海水を火星に送り込んだら

などなど。

ふとした疑問に取りつかれて夜眠れなくなる人におすすめの一冊。

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