投稿日: 2009-10-182017-02-27アフリカを食べる 松本仁一「アフリカを食べる」 「カラシニコフ」の著者の特派員時代をつづったエッセイ。山羊の骨髄、牛の生き血、インパラの刺し身……、軽い文章でアフリカの食文化が描かれているが、同時に紛争や貧困の現実も痛い程伝わる。 食をテーマとしたルポは辺見庸の「もの食う人々」が有名だが、辺見の文章はやや大仰で、時折傲慢さも感じられる。著者の年齢も連載・刊行時期もほぼ同じだが、辺見より視線が現地に近い。軽妙だが、敬意に満ちている。
投稿日: 2009-10-152017-03-08新 忘れられた日本人 佐野眞一「新 忘れられた日本人」 伝説的な地上げ屋、蒟蒻ジャーナリスト、スケベ椅子の開発者……一時代を築きながら、歴史から忘れられつつある人たちを取り上げた短篇評伝集。 タイトルは宮本常一の名著「忘れられた日本人」から。少々大それたタイトルをつけた感があるが、面白い。
投稿日: 2009-10-122017-02-27飢餓同盟 安部公房「飢餓同盟」 寂れた田舎町で、中身の無い空虚な革命を目指した男は次第に狂っていく。1954年刊の安部公房の初期作品。左翼でありながら、左翼に対する冷めた見方も持つ安部公房の立場がうかがえる。