渡辺保「女形とは ‐名女形 雀右衛門」
歌舞伎の特徴でもある女形。男が女を演じること自体は神事に由来する芸能では珍しくないが、現代にも根強く残るのには、そこに何か人をひきつけるものがあるということだろう。若さを失い、晩年になるほど輝きを増す、グロテスクと紙一重の美しさ。名女形と呼ばれた四代目中村雀右衛門の当たり役、所作の一つ一つを解きほぐしていく。歌舞伎初心者の自分にとっては見たことがない演目ばかりで正直細かな部分までは分からないが、女形の美しさがどこから来るのかおぼろげに伝わってくる。
読んだ本の記録。