アサッテの人

諏訪哲史「アサッテの人」

アサッテの方を向いた言動を繰り返す叔父。意味から逃げようとし、それが結局、定型化して意味に絡み取られてしまう。

こう書いてしまえば新しさは無いが、作中の細かなエピソードに魅力があるし、完成度は非常に高い。この小説自体が様式化への抵抗でありながら、どこか既視感があるものになっている。意味から逃げることの不可能性を、著者が意識したかは分からないが体現している。

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