キュー

上田岳弘「キュー」

石原莞爾の思想が語られる戦中・戦後、心療内科医の主人公が奇妙な体験をする現代、「個」が廃止された地球で現代人のGenius lul-lulがコールドスリープから目を覚ます未来の三つの時代が交互に描かれる。

効率、必然で歴史が進んでいくとしたら、人間を人間たらしめているのは、それに抗う力なのかもしれない。

スケールの大きな想像力で「人類史」あるいは「人類」そのものをとらえようとする力作。高尚で難解、スノッブな小説かというと決してそうではなく、どこかポップでユーモラス。急、旧、九、求、究、宮、久、球、救。キューをキーワードに紡がれる壮大な偽史。

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