「仲野教授の そろそろ大阪の話をしよう」

仲野徹「仲野教授の そろそろ大阪の話をしよう」

仲野徹・大阪大教授と大阪にまつわる専門家らの対談集。テーマは歴史、言葉、食から、音楽、落語、花街、鉄道など多岐にわたる。気楽な読み物であると同時に、内容はディープ。「面白い対談」の見本のような一冊。

登場するのは、髙島幸次、金水敏、西川梅十三、北川央、黒田一樹、江弘毅、キダ・タロー、谷口真由美、小佐田定雄、堀埜浩二、橋爪節也、柴崎友香。

大いなる「地方」であると同時に、歴史的には東京以上に都市としての性格を持っている大阪。戦後に放送演芸の世界を通じて画一的な(ちょっと下品な)イメージが広まってしまったが、一言では表せない豊かな文化を育んできた。今の市政、府政が文化的な多様さを自ら捨て、金儲けだけになってしまったように見えるのは残念でならない。

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本書はミシマ社が始めた新レーベル「ちいさいミシマ社」から刊行されている。委託販売ではない書店の「買い切り」方式で、卸値を55%(通常は取次を通して80%前後)に設定。少部数で利益を上げられる仕組みを作り、書籍や書店の多様性を奪っている薄利多売からの脱却を図るという書店と紙の書籍の今後を占う試みを応援したい。

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