人形の家

イプセン「人形の家」

 

1879年に発表されたイプセンの名作。近代劇の到来を告げる作品であり、家庭における女性を、意志を持った一人の人間として描いた最初の作品でもある。難しく考えなくても、単純にサスペンスタッチの家庭ドラマとして十分に面白い。

主人公のノラは、夫や父から人形のように扱われてきたが、病を抱えた夫を救うために内緒で借金をし、相手から脅迫される。自我に目覚めたノラが家を出ていくラストは、今となっては時代を感じさせるものの、名誉に固執してエゴイスティックな本性があらわになる夫の卑小さなどは今なおリアルで生々しい。

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