あの戦争と日本人

半藤一利「あの戦争と日本人」

1年前にkindleのセールで買ったまま積読(電子書籍ではなんと言えば……)していた1冊。
著者の論旨は明快で、日露戦争から日中戦争、太平洋戦争にかけて、国の指導者がいかにリアリズムを失っていったかに重点を置いて語られている。「統帥権の独立」を盾に「軍部が暴走」という単純な歴史観ではなく、参謀本部、内閣、世論がそれぞれに、ずるずると戦略無しの決断を重ねていった結果、引き返せない地点に至ったことを丁寧に明らかにしている。あの戦争は決して軍部という異常な存在が単独で引き起こした問題ではない。大衆、メディア、政治、どこにも大局的見地がないという問題は現在の日本にも重なる。

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