怖いと評判の作品。
墓地を見おろす新築マンションに越してきた一家の周りに奇妙な出来事が次々と起こる。エレベーターでしか出入りできない地下フロアに閉じ込められたり、エントランスのガラス戸に白い手形が次々と現れたりと、たしかにぞっとする場面はあるが、登場人物の描写や細部のリアリティ不足であまり怖いと思えなかった。
なぜ、の説明が無いまま恐ろしい出来事が続くのはホラーとしては欠点ではない(スティーブン・キングの作品なんて全部そうだ)が、細部に説得力がないと怖がれない。フィクションとはいえ、というより、フィクションだからこそ。
個人的に墓地を怖がる感性にもあまり共感できないため、主人公の主婦をはじめ、登場人物が墓地を、不気味だ、不吉だ、なぜこんなところに越してきてしまったのか、と過剰に怖がるのにも鼻白んだ。
(これは幽霊が怖くないというよりは、弔いの場は鎮守にはなっても呪いにはならないのではと思うから。放置され荒れ果てた墓地ならともかく)
エレベーターのみで、階段の設置されていない地下室も確かに怖いシチュエーションだけど、そんなマンションはあり得るのだろうか。消防法や建築基準法に詳しくないから分からないけど。