ボーイミーツガールの極端なもの

山崎ナオコーラ「ボーイミーツガールの極端なもの」

異色だが、直球。極端だが、極めてまっとうな恋愛小説集。

「処女のおばあさん」「野球選手の妻になりたい」「付き添いがいないとテレビに出られないアイドル」「ガールミーツガール」など9編。連作で、全てボーイミーツガールが物語の基本になっているが、内容は千差万別。

各話ごとにサボテンの写真と解説が挿入されており、その多彩さに驚かされる。多肉植物にこれほど奥深い世界があるとは知らなかった。

同様に恋愛にもさまざまな形がある、というと極めて陳腐な感想になるが、恋愛が人と人との一対一の、極めて個人的な結びつきである以上、そこには一つとして似たものがないのはたしか。恋愛へのあたたかな眼差しが、人間へのあたたかな眼差しと重なり、読後に優しい気持ちになれる一冊。

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