ダンス・ダンス・ダンス

村上春樹「ダンス・ダンス・ダンス」

3部作や他の作品は何度か読み返してきたが、この作品はずいぶん久しぶり。

後日譚という自由さからか、登場人物のキャラ作りも含めて、愉悦的とも感じられるほど饒舌な語り口。

これ以前の作品で描かれたぼんやりとした喪失感は、はっきりと死という形で周りにあふれ出す。同時にこれまでディスコミットメントを徹底し、表面的には無感動だった主人公は現実への執着と焦燥感を見せる。

3部作の延長のように思っていたが、この作品が書かれた時には既に村上春樹の意識は変わり始めていたのだろう。

「誰にでもそういう時がある。何もかもが間違っているように感じられるんだ……でも踊るしかないんだよ。それもとびっきり上手く踊るんだ。みんなが感心するくらいに」

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