奴隷になったイギリス人の物語

ジャイルズ・ミルトン「奴隷になったイギリス人の物語」

欧州各地からモロッコに連れ去られ、奴隷となった人々の記録。黒人奴隷の影に隠れた歴史の盲点。100万という数字や記述の正確さは判断できないが、この事実を抜きにしては、当時の白人のイスラム観というか、ムーア人観は理解できないのだろう。

著者はあまり問題視していないが、自国民の奴隷は必死に取り戻そうと外交交渉を行い、大枚をはたいて買い戻そうとする一方、国を挙げて黒人奴隷を新大陸に送っていることは誰も疑問に思わない。あるいは白人であっても連れ去られた先で改宗してしまうと救出の対象では無くなってしまう。

人権意識、というより、人間という共通概念の歴史の浅さに愕然とする。でも、現代の政治や世論も似たようなものかもしれない。

コメントを残す