ヘンな日本美術史

山口晃「ヘンな日本美術史」

画家の目線から、西洋の写実とは違う「日本美術」の面白さを柔らかい語り口で説いた一冊。

透視図法とは違う、段階的な奥行き。横顔に正面を向いた目、後ろから見た耳、キュビズムのように次元が混在した描写。西洋近代以降の画法になれてしまった目には、中世などの絵の魅力は分かりづらいが、それは人間の感覚からすれば、ただ見たままを書くよりも真実に近いのかもしれない。

暗い屋内、横から差す明かりで屏風の金箔がどう見えたかなど、現代の展示や図録ではそもそも本来の姿を見ることができないことにも気付かされる。絵の見方が変わると思う。

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