火花

又吉直樹「火花」

お笑いの世界を舞台にしていること以外はストレートな青春小説(芥川賞の選考会で宮本輝が推したのもなんとなく納得)。自分だけが理解し、尊敬している師匠というモチーフも古典的だが、その師匠との会話を通じて、良い意味で青くさい人生論、お笑い論(創作論)になっていて心に残る。何より、作者が自分自身にとって切実なものを書いていることが伝わってくる。

「必要がないことを長い時間をかけてやり続けることは怖いだろう?(中略)この長い月日をかけた無謀な挑戦によって、僕は自分の人生を得たのだと思う」

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