ほしのこ

山下澄人「ほしのこ」

海沿いの小さな小屋。社会の外側で暮らす父と娘。少女は父親から遠くの星から来たと言われて育つ。やがて父はいなくなる。入れ替わるように、どこかから女の子がやってくる。後半、物語の視点は揺れ動き、「わたし」は山に落ちた飛行機乗りになっている。生と死の影が混ざり合う。

寓話のような物語だが、教訓や明確なメッセージがあるわけではない。そこにあるのは、ただ生きて死んでいくことの果てしない淋しさと美しさ。そして、そうした言葉で説明するのが難しい不思議な何か。

小説としての視点は少女が中心だが、著者は明らかに、先に死ぬ父の目、既に死んでしまった無数の死者の目でこの物語を見つめている。

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