猟銃・闘牛

井上靖「猟銃・闘牛」

井上靖の初期短編集。表題作の一つ「猟銃」は、妻、愛人、愛人の娘の3人からの手紙で、13年間の許されぬ恋を綴る恋愛小説。猟銃を持った男の背に孤独を読み取り、美しく哀しい物語を紡ぐ。「闘牛」は、社運をかけた事業に邁進しながら、一方で自分の人生に乗り切れない男の悲哀が漂う。もう一作の「比良のシャクナゲ」もまた誇張された老いと独善の中に普遍的な人間の孤独が滲む。

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