ユダヤ人とダイヤモンド

守誠「ユダヤ人とダイヤモンド」

宝石の代表的存在とも言えるダイヤモンドだが、その価値は希少性に由来するのでは無い。デビアスによる採掘の独占、徹底した販売統制を経て、二流の石の価値が作られていった。

非常に面白いテーマだけど、新書とはいえ少し物足りない。デビアスの広告戦略や紛争ダイヤへの言及は一切無い。ディアスポラの過程でユダヤ人と宝石が結びつき、ダイヤ産業の中心を担う存在になった、という説明も分かりやすいが、近代以前のディアスポラをどこまで言葉通りに受け取っていいのかという観点から、もう少し丁寧な考察が必要では。

臨場感を出すためか、時々一人称を交えてドキュメントっぽく書いているが、かえって書いている内容が一次資料にあたったものか分からなくなってしまっている。ただ日本語でダイヤモンドビジネスを扱った書物はほとんど無いため、貴重な一冊。

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