保坂和志「季節の記憶」
鎌倉を舞台に、父と息子、友人の兄妹との穏やかな日々を描く。大きな出来事は何もなく、子どもの目から見た世界の不思議と、大人の目から見た世界の不思議が綴られていく。
季節の記憶は年とともに層を重ねる。季節の移ろいに感じることは年を取るほど増えていく。
父である主人公は、息子の自由な感受性が失われていくのを恐れているが、大人になって育つ感受性もある。
子どもと大人の感覚が瑞々しい対照を描いていて、読み終えて日々の風景の見え方がちょっと変わった気がする小説。
読んだ本の記録。