ミュージシャンとして活躍する傍ら、作家としても多数の小説やエッセイを発表している大槻ケンヂの短編集。オカルト、SF風の5編が収められている。表題作と「のの子の復讐ジグジグ」は星雲賞の受賞作。
表題作は気が触れてしまった少女=くるぐるを見世物として各地を転々とした男の回想。他の短編も含め、どれも精神的に病んだ登場人物が現れ、グロテスク(外面的な気持ち悪さというより、精神的な)な内容だが、漫画的なスピード感と軽妙さも持ち合わせており、中高生くらいの時に読んだらはまっていたかもしれない。
最後の「のの子の復讐ジグジグ」は、いじめられていた少女が臨死体験を経て人類に復讐する話。話のスケールがどんどん大きくなっていくテンポの良さと、読みながら怒り出す人もいるんじゃないかというふざけっぷりは、個人的には結構ツボ。
「くるぐる」や「ジグジグ」という言葉のセンスにも脱帽。