崩れ

幸田文「崩れ」

まるで非常に重いテーマの小説かのようなタイトルだが、「崩れ」は比喩ではなく、そのまま。

大谷崩れから有珠山まで、各地の地崩れを憑かれたように見て歩いたエッセイ。

どっしりとしているように見える自然の下に潜む脆弱さと荒々しさ。今から30年以上前の作品で、当時70歳を過ぎていたとは思えない素直でユーモアに溢れた文章。自分が年をとったとき、こんな瑞々しい感受性と不思議な熱を持つことができるだろうか。

古風で素朴な作家というイメージしか無かったが他の作品も読み込んでみようという気になった。

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