幕が上がる

平田オリザ「幕が上がる」

“静かな演劇”の地平を切り開いた著者がどんな小説を書くのか気になっていたら、これが意外なほど爽やかな青春小説。そして、まさにそれを狙ったのだろうけど、“高校演劇入門”としても白眉の出来。余計なドラマが無いのがいい。唯一のドラマが元女優の副顧問を巡る後半の展開だけど、それすら無くてもいいくらい。

普通の悩みだからこそ、かけがえがない。ドラマがないからこそ、日々は可能性と希望に満ちあふれている。こんな風に夢中になれるものを見つけられたら。

コメントを残す