2017年まとめ

2017年に読んだ本は124冊(前年比6↓)、4万2516ページ(同1137↓)。

  

まずは何といっても池澤夏樹編の日本文学全集の新訳シリーズ。

池澤夏樹は刊行に当たっての「宣言」で「われわれは哲学よりも科学よりも神学よりも、文学に長けた民であった」と記しているが、その言葉通り、現代作家の手で新たな命を吹き込まれた作品群の多彩さに驚かされた。

町田康の「宇治拾遺物語」、古川日出男の「平家物語」、川上弘美の「伊勢物語」、江國香織の「更級日記」、三浦しをんの「菅原伝授手習鑑」など、「〇〇が〇〇を訳したら面白いだろうな」という読書好きなら誰もが抱くであろう妄想を叶えるような大胆かつセンスあふれる人選で、それぞれの作品の魅力を目一杯引き出している。

そこには、現代と変わらない悩みや悲しみ、喜び、笑いが書かれていて、古典を現代語で楽しむというだけにとどまらない感動があった。こんな現代語訳が中高生の頃にあれば、日本文学に対する理解は全然違ったものになっていただろう。

  

そのほか印象に残った本は、ノンフィクションの新刊では、堀川惠子「戦禍に生きた演劇人たち」、上原善広「路地の子」、中島弘象「フィリピンパブ嬢の社会学」、吉田勝次「洞窟ばか」、奥野修司「魂でもいいから、そばにいて」。

少し前の本も含めれば、ほかに小林尚礼「梅里雪山 十七人の友を探して」、石村博子「たった独りの引き揚げ隊」、松永正訓「運命の子 トリソミー」、加村一馬「洞窟オジさん」、高野秀行「怪獣記」など。米本浩二「評伝 石牟礼道子:渚に立つひと」、尾崎放哉の評伝である吉村昭「海も暮れきる」も。

  

海外のものでは、スティーヴン・ウィット「誰が音楽をタダにした?──巨大産業をぶっ潰した男たち」、エリック・ワイナー「世界天才紀行」、フレデリック・クレインス「十七世紀のオランダ人が見た日本」が面白かった。

  

小説はあまり新刊を読まないので、印象に残ったものは古い作品が中心。

梅崎春生「桜島・日の果て・幻化」、井上靖「あすなろ物語」「しろばんば」、色川武大「花のさかりは地下道で」、アゴタ・クリストフ「悪童日記」。

村上春樹の新刊「騎士団長殺し」は、過去の作品のセルフパロディといった場面が多くて驚かされたが、同時に現在の著者の姿勢も強く滲んでおり、一つの節目の作品になりそう。

ほかに、船戸与一「砂のクロニクル」、隆慶一郎「花と火の帝」、熊谷達也「邂逅の森」などは、読んでいて止め時がわからないほど引き込まれた。

 

児童文学だが、年齢にかかわらず多くの人に読んでもらいたいと思ったのが、R・J・パラシオ「ワンダー Wonder」。

ウォルター・ワンゲリン「小説『聖書』」は勉強にもなった。

  

エッセイでは、片桐はいり「グアテマラの弟」。戯曲では、飴屋法水「ブルーシート」。どちらも普段そのジャンルに触れない人にも手にとってほしい作品。

 

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