女のいない男たち

村上春樹「女のいない男たち」

シンプルに“村上春樹の恋愛小説集”といえるような一冊。これまでの長編にちりばめられていた恋愛絡み、特に別れの要素を短編小説として仕上げた感じ。

長編ではいつも自らの作為や想像力を超えたものを書こうと苦心している部分が感じられるが、短編は作家としての技術に素直に書いていて読みやすい。

収録作の中では、「イエスタデイ」が初期作品の主人公や著者自身を彷彿とさせる大学生の「僕」が語り手で、かつ、「決めの台詞を口にしすぎる」という自己に対する批評性を持っていて、にやりとしてしまった。

コメントを残す