柳宗悦「民藝とは何か」
本当の美は日用品の中にこそ宿る。昭和初期に民藝運動を提唱した柳宗悦。歯切れが良く、読んでいて気持ちが良い。
「なぜ特別な品物よりかえって普通の品物にかくも豊かな美が現れてくるか」 「前者の有想よりも後者の無想が、より清い境地にあるからです。意識よりも無心が、さらに深いものを含むからです。主我の念よりも忘我の方が、より深い基礎となるからです。在銘よりも無銘の方が、より安らかな境地にあるからです。作為よりも必然が、一層厚く美を保証するからです。個性よりも伝統が、より大きな根底と云えるからです。人知は賢くとも、より賢い叡智が自然に潜むからです」
「誰が無学を讃美することができるでしょう。ですけれど同時に私達は知識を過信するほど無知であってはならないのです。いかなる知が無心の深さを越え得たでしょう」