猛スピードで母は

長嶋有「猛スピードで母は」

「サイドカーに犬」では父と愛人、「猛スピードで母は」には母。どちらの作品も小学生の視点で綴られ、奔放で個性的な大人が出てくる。そうした親を持つ誇らしさ、「自分」というものを持った大人への憧れ、同時に、大人として生きることのつらさへの慈しみのようなものも滲む。さらっと読めてしまう一見特徴のないシンプルな文章がかえって余韻を残す名短篇。

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