笙野頼子三冠小説集

笙野頼子「笙野頼子三冠小説集」

非現実的な妄想が延々と続くなど、リアリズムと対極にあるようで、思考の流れに逆らわないという点では、読んでいてリアリズムのような印象も受ける不思議な小説。決して難解ではなく、文章は読みやすい。「地下室の手記」を彷彿とさせる私小説的な「なにもしてない」。幻想小説のような「二百回忌」。マジックリアリズムで現代日本を描いたという感じの「タイムスリップ・コンビナート」。3作ともスタイルは全然違うのに手触りはどれも似ている。

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